大しゃもじを使ってじっくり引き出す濃厚な野草エキス。 伝統を守りながら創意工夫を加える若き職人の矜持がここに。
今回お話を伺ったのは、入社6年目の笠松主任。入社以来ずっと「大しゃもじ」とタッグを組んで野草エキスを抽出する作業を担っています。
私が担当しているのは、原材料となる野草のエキスを大釜で煮出す、酵素ドリンクの製造の言わば「はじめの一歩」に当たる工程です。
「酵素八十八選」や「シリカが入った“おいしい酵素”」は、数多くの野草類の栄養素を無駄なく抽出するためおよそ2時間をかけて職人が手作業で撹拌を行っています。「大しゃもじ」は、その撹拌作業に欠かせない道具。私にとっては相棒のような存在なのかもしれません。
大しゃもじの長さは、およそ1.5mもあります。身長170cmの私のちょうど胸首の辺りまでくるほどの大きさです。コロナ禍になる前はお客様が工場見学にいらっしゃることもよくありましたが、皆さん口を揃えて「大きいですね」とびっくりしていたのを覚えています。重さは2.5kg。樹脂製だからか、実際の数字よりもずっしり重く感じます。
それを大釜の中でひたすら2時間、何人か交代しながらゆっくりと動かし続けるんです。ずっと腕を上げた状態ですから、入社したばかりの頃はとにかくキツかったですね。今はだいぶ筋肉もついて、腕がたくましくなってきました(笑)。
私が入社するより前は、木製のしゃもじを使っていたこともあったようです。木製の方が軽くて扱いやすく作業する人間にとってはメリットも多いのですが、あえて樹脂製に切り替えたのには理由があります。
それは木製の方が劣化が早いこと。酵素飲料はお客様の口に入るものですから、万が一にでも木屑などが混入するリスクは避けなければなりません。またお手入れのしやすさも樹脂製の方に軍配があがります。その日の作業を終えると毎日しっかりと洗浄を行いますが、樹脂製ならすぐに乾いて清潔を保てますから。安全と清潔、その観点からあえて重たい樹脂製の大しゃもじを使っているのだと聞きました。お客様の視点に立てば当たり前の選択ですよね。
野草のエキスを効果的に引き出すためには、全体をしっかり攪拌することが重要なんです。内側で小さな円を描くより、大釜全体を外周から大きく混ぜること。小さく動かす方が職人としては楽なんですけどね。でもせっかくの貴重な野草ですから、少しでも多くの栄養素を引き出したいと頑張っています。大しゃもじの扱い方は、先輩方から教わりました。今は私も後輩を育てる立場になりましたが、受け継いだ伝統の技術はもちろん、自分なりに体で覚えたコツのようなものも一緒に伝えていけたらと思っています。
多くの野草を毎日扱っている工場の中は、さまざまな野草の香りが入り混じる独特の空気が立ち込めています。それぞれに強いエネルギーを持つ個性豊かな野草たちが、菌の力を借りて酵素飲料として一つにまとまっていく。その工程のスタートを担っているのだと思うとやりがいがあります。あんなに主張の激しい野草をこれでもかと詰め込んでいるとは思えないくらい、完成した酵素飲料は飲みやすい。それが不思議です。あらためて、発酵菌というのはすごいものだなぁと思います。
工場に届くお客様からのお手紙は、仕事をする上でも一番の楽しみです。私自身もこの酵素飲料を毎日飲んで効果は実感していますが、やはりお客様の声が一番自信になりますね。大しゃもじを動かしながら、いつもお客様の笑顔や健康を祈っているんです。なんて言うとカッコつけすぎですか?(笑)