販売協力店のご紹介(石原クリーニング/きんすシミ抜き研究室@神奈川県横浜市)

販売店舗の取材

港町・横浜は日本の近代化が始まった街。ここを発祥とする産業はたくさんあります。鉄道会社、ビール工場。ガスや電話の事業。写真館、牛肉料理の店やベーカリー、アイスクリーム店も横浜から広がりました。

そして、意外と知られていないのがクリーニング店。このおなじみの業種が日本で最初にスタートしたのも横浜です。

中区石川町で3代にわたりクリーニング店を営み、洗剤にも深い知識をお持ちの金須壮央・貴子さん夫妻をお訪ねしました。


SGDsについてふれた店の前の立看板が印象的です。

(貴子さん)
はい。じつはスローヴィレッジから送られてくる『カラダこころ通信』のインタビュー記事(39号)を読み、私たちが伝えたいのはこういうことだ!と思ったのです。


(壮央さん)
うちはすぐゴミになるようなものを減らしたくて、クリーニングしたものをお渡しするときにビニールカバーやハンガーをなるべくつけないようにしていまして。

(貴子さん)
お客さんにも説明をするんですが、最初の頃は、あんたのところはケチねと言われたこともありました。ケチでつけないわけじゃないんですけど、環境問題への取り組みを説明することの難しさを感じました。

そんなとき出会ったのが、今の社会にはこれだけの課題がありますと色分けで示されたSDGsの考え方でした。そうそう、私たちが言いたかったのはこういうことだと。ケチな店がエコな店に変わった瞬間です(笑)。

まだ大企業くらいしかを表明していない時期でしたので、町の小さなクリーニング屋がSDGs!と驚かれました。

(壮央さん)
業界の意識も変えたかったんです。ビニールのカバーもハンガーも、クリーニングに出すともれなくついてくるというのが常識でした。でも、くれないのはケチだと思う方だって、一方ではじゃまだなと感じていることもあるはずなんです。

あるハンガー屋さんの社長のブログを見たら、こんなことが書いてありました。ゴミの埋め立て処分場へ視察に行ったら、一角に自分の会社のハンガーが敷き詰められていたと。以来、その会社は事業の主力を貸し出しに変えたそうです。うちは考えに共鳴し、その会社からハンガーを買って自分のところで循環させるようにしました。

(貴子さん)
必要だという方にだけおつけし、いらないとおっしゃる方にはポイントを発行しています。ささやかな額ですけど、ハンガーの購入金額とポイントでお客様へ還元した分の差額を、毎年被災地に寄付させていただいています。

すばらしい取り組みです。

(壮央さん)
うちはいろいろ変わっているクリーニング屋なんですよ。質問と説明が長いことでも有名でして(笑)。

(貴子さん)
はじめての方はびっくりするかもしれません。途中で、もういいですと帰ってしまわれる方もいます(笑)。


(壮央さん)
うちは一部外への委託も行なっていますが、基本的は自分のところで洗っています。お預かりする以上は、どういう方がどういう思いをもって着てこられた服かという来歴を知っておきたいんですね。適切なクリーニング処理をするには、汚れの原因なども詳しく把握しておく必要がありますから。

(貴子さん)
なので、ついつい話が長くなってしまうんです(笑)。

(壮央さん)
職人である私たちがお客様から直接お受けするというのがポリシーで、クリーニング作業も、おひとりおひとりの顔を浮かべて行なっています。


クリーニングは価格勝負のようなところがありますね。そこまで丁寧な仕事にこだわる理由は何でしょうか。

(貴子さん)
わざわざクリーニングに持ってこられる洋服というのは、そのお客様にとって大事な存在だと思うからです。お母さんからのプレゼントだとか、旦那さんから結婚記念にもらったとか。最初はシミだけ取れればいいんですと持ってこられても、私たちと話をするうちに思い出がよみがえり、もっと大事にしてあげたいという気持ちが湧いてくる方も多いです。


(壮央さん)
その気持ちに寄り添いたいんですね。たとえば、古びたように見えても、毛玉をきれいに取るだけで見違えたように若返る服もあります。そして大事なのは洗い方。クリーニングの主流といえばドライですが、ドライは万能ではありません。石油系の溶剤は油や皮脂汚れには強いんですけど、汗に含まれる水溶性成分は完全には落としきれません。せいぜい3割。

(貴子さん)
クリーニングに出したのに、久しぶりに出してみたら襟元や脇の下が黄ばんでいたというのは、だいたいそういう理由からです。

対話を大切にしているのは、洗濯に関する基礎知識を知っていただきたいということもあります。お客様にはよく言うんです。食べこぼしや汗ジミはドライではとれないです。家庭で洗濯するほうが落ちますよと。

でも、水洗いは縮みが心配な場合もありますね。

(壮央さん)
はい。繊維のもともとの性質で、羊毛や綿は縮みやすいです。毛の場合は水にぬれると表面のキューティクルが釣りバリのカエシのように開き、洗濯によって動けば動くほどひっかかって縮みになっていきます。市販のウール専用洗剤は、表面のキューティクルにシリコンの膜を張ることで繊維どうしの絡みを防いでいます。

綿の場合は水を吸って繊維自体が膨らみ、それによって変形が起きます。石油系の溶剤は水ではないので、こうした反応が起きないのです。

(貴子さん)
それがドライクリーニングの原理ですが、汚れ落としという点では水にかなわない部分もあるんですね。


(壮央さん)
じゃあ化繊は水洗いしても型崩れしないかというとそんなこともなく、実際は生地ごとに異なります。最近はいろんな性質を持たせた天然繊維に近い機能のものもありまして、そういう化学繊維はけっこう洗い方の判断が難しい。

タグに書かれている洗濯表示が正しくないこともあります。ほんとうは丁寧な水洗いが最適なのに、縮みや色のにじみのクレームが出るのを恐れてドライクリーニング表示をしているアパレルさんもあります。

うちは、この生地素材にこの洗濯表示は疑問だなと思ったら、直接アパレルメーカーに連絡して意見を伝え、確認をしてもらいます。それをきっかけに表示が変わったこともあります。


(貴子さん)
しつこいクリーニング屋なんですよ(笑)。

たとえば、汗ジミの黄ばみにはどう対応するのですか。

(壮央さん)
水洗いです。うちはドライの比率も多いのですが、好きなのは水洗いですね。技術的に難易度が高いけれど仕事として面白い。きんすシミ抜き研究室という看板も掲げていて、服に合わせたさまざまな対応をクリニック的に行なっています。

(貴子さん)
水洗いにこだわる理由はもうひとつあります。これはとても大事なことなんですが、ドライクリーニングの場合、石油系の溶剤が揮発したまま服に残留する場合があるんです。

ドライクリーニングには特有のにおいがあります。芳香剤と思っている方も多いんですけど、あれはごくわずかに残った溶剤のにおい。ほんとうは無臭でないといけないのです。

石油系のものですから、直にふれると皮脂を吸い取って肌を荒らす恐れがあります。なので、水で洗えるものは水で処理したいという思いがあります。

店頭には家庭用洗剤のオールシングス・イン・ネイチャーを置いていただいていますが、選んでいただいた理由はどういうところでしょう。


(貴子さん)
海に負担をかけないという理念が、私たちの考えと同じでした。海岸でごみを拾ったついでに見つけたシーグラスを持ってくると、加盟店の特典がもらえるビーチマネーの考えも素敵で、うちもぜひ仲間に入れてもらいたくて(笑)

(壮央さん)
水洗いのほうが肌にはやさしいといいましたが、仕事ですから毎日大量の水と洗剤を使っています。それは最終的には海に向かいます。環境に対する責任はまぬがれない。皆さんも一緒に環境のことを考えませんかという意味を込め、扱わせていただいています。

そうそう、じつはオールは仕事にも使っているんですよ。

えっ、オールシングス・イン・ネイチャーをクリーニングにですか?

(貴子さん)
水洗いのメニューの中にハーブ水洗いというコースがありまして、これにオールを使っています。ハーブ水には機械洗いと手洗いがあるんですが、セーターは全部ハーブ水の手洗いでお願いしますと指定されるお客様もいます。天然精油由来の自然な香りが好評です。

(壮央さん)
この店を義父から継ぐことになったときふたりで話をしたのは、従来型の洗濯屋のままではとどまりたくないね、ということでした。私は結婚を機に異業種からクリーニング業に入ったので、業界を客観的に見ることができました。他の業界から見ると非常識だったり、世間の動きから取り残されていると感じられることもあるのがすごく気になっていまして。

たとえば安さと早さの競争だったり、環境や健康に対する意識だったり。うちもそのやり方で回してきたし、利益も出せていましたけど、仕事としてやっていても、張り合いや楽しさを感じられませんでした。むしろ心苦しかったです。

(貴子さん)
店の建て替えを機に、自分たちらしいやり方、ほんとうにやりたいクリーニングに変えたら、お客さんも喜んでくださるようになりました。着るのが楽しみだと、仕上がりをうれしそうに待ってくださいます。

店をクローゼット代わりに利用する人もいて、クリーニング屋さんは迷惑しているという話を聞いたこともありますが。

(壮央さん)
つまり、クリーニングが仕上がったのに引き取りに来ず、着たい時期になって来店される方ですね。以前はいましたけど、うちの場合、今はそういうお客様はいません。

(貴子さん)
考え方に賛同していただける方ばかりになりました。これが正しいと信じてがんばれば、思いって伝わるんだね。そんなふうに、ときどきふたりで話をします。


石原クリーニング/きんすシミ抜き研究室
神奈川県横浜市中区石川町4-158-10
045-681-2390
営業時間 9時00分〜20時00分
http://www.hiraganashoutengai.net/ishiclean/

 

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