数人の友人から「この本はオススメだよ」と言われていたのが、『モモ』という本。
著者はドイツ作家のミヒャエル・エンデ。
先日、図書館に立ち寄った時に思い出して、スタッフに聞いてみると、「もちろん、ありますよ。書庫にあるからちょっと取ってくるね~」と。
出てきたのが、偶然にも僕が生まれた1976年に発行された本でした。
以下、ウィキペディアから抜粋します。
「イタリア・ローマを思わせるとある街に現れた「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちによって人々から時間が盗まれてしまい、皆の心から余裕が消えてしまう。しかし貧しくとも友人の話に耳を傾け、その人自身をとりもどさせてくれる不思議な力を持つ少女モモが、冒険のなかで奪われた時間を取り戻すというストーリー。
物語は、「円形劇場に住むモモと友だちの平穏な生活」 から 「時間泥棒の出現」 そして 「マイスター・ホラとの出会い」と 進行する。「時間貯蓄銀行」を名乗る者達は、「時間を貯蓄すれば命が倍になる」と偽り、人々から時間を奪う。その魔の手がついに モモにまで及ぶ。モモをターゲットとした「時間泥棒BLW553号」は、モモの「時間泥棒も愛されている」という言葉に自失し、時間泥棒の秘密を話してしまう。組織は、「時間泥棒BLW553号」を裏切り者として裁判にかけ反逆罪により死刑を宣告。彼は煙のように消される。 と続き、最後にモモは盗まれた時間を解放する。
ストーリーには、忙しさの中で生きることの意味を忘れてしまった人々に対する警鐘が読み取れる。このモモという物語の中では灰色の男たちによって時間が奪われたという設定のため、多くの書評はこの物語は余裕を忘れた現代人に注意を促すことが目的であると受け止めていた。一方では、この「時間」を「お金」に変換し、利子が利子を生む現代の経済システムに疑問を抱かせるという側面もある。このことに最初に気が付き、エンデ本人に確認を取ったのはドイツの経済学者、ヴェルナー・オンケンである」
僕はこの本を読み進めるにあたって「正に現代人そのものだ」と、そう思いました。
ついつい「忙しい」と言って、自分を愛することも、奥さんや子どもや両親や友達を愛することもそっちのけで、とにかく時間との戦いで、仕事や習い事などが中心の生活になっているように思います。
『モモ』の中で「子どもから時間を奪うことが何よりも難しい。だから、大人を上手に使う作戦に出よう」というような台詞が出てきます。
そうなんです。子どもは時間を贅沢に持っていて、その時間をありのままに使います。ですが、それを大人が習い事だの、色々な用事を取って付けたようにがんじがらめにしてしまって、子ども自身も大変忙しい毎日を送っているように思います。それは、都会の子どもほどその傾向が強いように感じています。
そして、『モモ』の中で「子どもの遊びにとって、一番大切なことは・・・何もないところから遊びをつくりだす力=想像力である」とも言っていました。
本当にそう思います。
花に水をやり、土を触り、空を眺め、砂浜を散歩し、自分で料理をつくり、人とゆっくり会話を愉しむ。
そういうゆっくりとした、たっぷりとした時間の使い方が、身体にも心にも大切だと思います。
Slow is Beautiful.
ここ数年間の中で間違いなく、マイベストな本が、この『モモ』です。
ぜひ、皆さんも読んでみてください。