フットケアとは?
そもそもフットケアとは何でしょうか。保湿ケアやマッサージなどのイメージを持つ方もいるでしょうが、実はフットケアには大きく分けて2つあります。
ひとつは糖尿病や血液障害などによる壊疽(えそ)に対する、医療的な治療や予防のことです。壊疽とは壊死した皮膚の表面が黒変したものを指します。例えば爪が皮膚に食い込み炎症を起こすと、血が通わなくなりますよね。簡単に言うと、このような、皮膚がミイラ化するようなものを壊疽と言います。
もうひとつはセルフケアです。足のトラブルは壊疽の他にも、たこやうおのめ、水虫や骨の変形、外反母趾などさまざま。そうした足のトラブルのもとは、靴擦れのような小さなトラブルや個々のクセなどの蓄積です。今回はこのセルフケアについご紹介していきます。
そもそも、足にトラブルがあると何が問題なのでしょうか?壊疽になる以外にも、足に何かしらの問題を抱えている人、特に高齢者は転倒リスクが高いことが分かっています。実は要介護が必要になった理由の3位には「骨折・転倒」があげられるのです。
トラブルが起こることで歩き方が悪くなり、さらに状態が悪化し、歩かなくなったり、歩けなくなったり…運動器疾患の負のループはちょっとした足のトラブルから始まります。こうした状況を防ぐために何が出来るでしょうか?実は、ケアにより改善することができます。
自分の足を知ることが大切
あなたは足が自分のカラダにどんな役割をもたらしていると思いますか?歩いたり、かがんだり、座ったり…。足は腰や股関節、首などといった骨や筋でつながっていて、カラダを支える基礎です。自分のトラブルを知るためにも、まずは自分の足の状態を知ることが大切。そこで足育研究会ではこんな定義をつくりました。
図は足のタイプを4つに分類したものです。自分がどのタイプなのかを知ることによって、今後起こり得るトラブルを予測することができます。図の左から「ドスドス型」「ナヨナヨ型」「カチカチ型」「ペタペタ型」と名付けました。 ではこの足のタイプ、例えばどんなトラブルが起こり得るでしょうか。
例えばドスドス型は股関節が開いているので、股関節や腰を痛めやすい傾向にあります。ナヨナヨ型は足が内にはいり、歩くとき腰がふれやすい姿勢のため、外反母趾になる人が多いタイプ。カチカチ型は全体的に関節が固く、足が上げられず転倒トラブルも多くなります。ペタペタ型は若い世代に多く、運動しないことによる脱力型の姿勢をする方が多いです。このタイプは筋力が弱く、足を痛めやすい傾向にあります。
足を健康にする3つのポイント
壊疽や転倒といった足のトラブルは、突然起こるものではありません。小さなトラブルが蓄積してなるものです。これ以上小さなトラブルを重ねないよう、足を健康にする3つのセルフケアをご紹介します。
①正しく爪を切る
足は移動したりすべらないために、手は細かい作業をするために、爪が保護機能を担っています。力は骨をつたって伝わりますが、指の先端には骨がありません。骨の代わりに、爪が力を受け止めています。
深爪してしまうと、こうした力の伝達ができなくなったり、体重がかかって足や手に負担がかかりやすくなったりします。また巻き爪の原因にもなり得るため、深爪は絶対にやめましょう。
正しい爪の切り方はスクエアカットと呼ばれる、真四角に爪を切ることです。角が靴下に引っかかることを恐れて斜めに切る方もいますが、斜め切りも巻き爪になりやすくなるため注意が必要です。皮膚を覆うくらいの長さで、真四角に切ることが大切です。
②適切な靴を適切に履く
足はなんとカラダの骨の1/4にあたる骨でできています。内側部や外側部、前足部にある3つのアーチが、カメラの3脚のように立つことでバランスを保ち立つことができます。このアーチを支えるための重要な役割を靴が果たしています。
アーチをきれいに支えるためにも、靴の形は自分の足の形にあったものを選びましょう。私たちの足は大きく分けて3つの形に分けられます。スクウェア型という親指から小指までがまっすぐな形と、ギリシャ型という人差し指が一番長い山を描くような形、そしてエジプト型という親指から小指までが傾斜になっている形です。
例えば女性のパンプスに多いポインテッドトーは、ギリシャ型に適していて、スクウェア型やエジプト型は足に負担をかけてしまいます。このように自分の足の形が分かれば、自分に合う靴を選ぶことができます。外反母趾といった足にトラブルを抱えている方は、指があがりやすいため、トウボックスの高さも大切です。低いと足をぶつけてしまうため、高さに余裕のある靴を選びましょう。
また、インソールを使って足の変形に靴を対応させることもできるので、ぜひ活用してみてください。自分で選ぶのが難しい場合はシューフィッターを頼ってみるのもいいかもしれません。
③足のアーチを守って、正しい運動をする
歩行・ウォーキングは生活習慣病や認知症といった病気の予防にいいとされています。そのためには1日5000〜8000歩を、ときどき息がきれるほどのスピードで歩くことが大切です。しかし歩き方や姿勢が悪いと、身体を傷める原因になり得ます。そこで正しい歩行と姿勢のポイントをご紹介します。
まずは今の自分の姿勢をチェックしてみましょう。普段通りに立ってください。下を見たときに足が見えるのがよい姿勢です。胸を張っていたら胸が、脱力していたらお腹が見えるので、胸やお腹がでないよう姿勢を意識してください。
正しい立ち姿勢が分かったら、次は歩行です。かかとから着地して次に小指、親指と重心を移動するのが正しい歩き方。かかとからつま先までをまっすぐになるよう意識して歩いてみてください。腕を振るときは左右平行に、やや後ろにふることで重心が前に移動しやすくなり、姿勢よく、早く歩きやすくなります。 このとき、おへその下に少し力を入れることで脱力した姿勢を避けることができます。
足に違和感を覚えている人はまず、これらの3つのポイントを意識してみてください。足の健康を守り、生涯を通してピンピンと歩き続けられるカラダをつくるために、ぜひ実践してみてください。